関西と近畿の使い分け方を見直すべし
はじめに
これまで、一般的に地方名として「近畿」、経済圏や生活圏として「関西」が使用されてきました。私はこれを逆にすべきだと考えています。
本題
天気予報や学校地理など、地方名として「近畿」が使用されることが一般的です。一方、「関西経済連合会」など、経済圏として「関西」が用いられることが多いです。私はこれを逆にし、地理や地方名としては「関西」を使用し、経済圏や生活圏としては「近畿圏」や「京阪神」などの言葉を積極的に用いるべきだと考えています。その理由について述べていきます。

「関西」のメリットとデメリット
「関西」のメリットは発音しやすいという点です。これは日本語話者に限らず、英語話者に関してもです。とにかく言いやすいですよね。他の地方へ行った時に「どこから来たの?」と聞かれたときに、やはり「関西」と答えるのが一番無難ですよね。
一方、デメリットは「関所より西の辺境」という見下したニュアンスを含んでいることです。要するに、「関ヶ原より西の辺境」という、いわば差別用語なのです。平成時代に、新名神高速道路の建設が一時凍結された際、某大臣が「関西みたいな田舎に立派な高速道路は必要ない」的なニュアンスの発言をしましたが、これが「近畿」や「京阪神」であれば、そんな台詞は吐けなかっただろうと思います。
「近畿」のメリットとデメリット
「近畿」のメリットは「関西」とは逆に、言葉の本来のニュアンスが「畿内(都)に近い」という格式高い言葉であることです。つまり、昔の言葉でいうところの「首都圏」という意味なのです。もちろん、漢字が語源なので中国語圏の人にもニュアンスは通じます。
しかし、「近畿」には致命的なデメリットがあります。それは、音の響きが良くないことです。ご存知の方も多いと思いますが、英語圏の人にとってKink●は伏せ字にされても仕方ないほど最悪な形容詞なのです。
地方名は音訳、経済圏は意訳される
ここまで、「関西」と「近畿」のメリットとデメリットについて述べました。ここで、両者のいいとこ取りをするハイブリッド案を提案します。
それは冒頭でも述べた通り、地方名として「関西」、経済圏や生活圏として「近畿」を用いることです。

たとえば、「首都圏」という言葉を検証してみます。これ、英訳する時に「Shuto area」とか「Shuto-ken area」なんて訳しますか? しないですよね。訳すなら、「Tokyo metropolitan area」とか「Greater Tokyo area」のように意訳しますよね。
なので、「近畿圏」も音訳せずに「Greater Osaka area」や「Kyoto-Osaka-Kobe metropolitan area」で良いと思うのです。「中京圏」も同様に「Greater Nagoya area」のように意訳すれば良いと思います。

なので、天気予報は「近畿地方」ではなく「関西地方」にしましょう。一時期、NHKニュースでは英語版だけ「Kansai」と言っていた記憶がありますが、今後は日本語も英語も「Kansai」にしましょう。
学校地理も「関西地方」で良いと思います。もちろん、「近畿圏」という言葉も教えるべきです。「関西地方」に三重県を含めるかどうかは議論になるかもしれませんが、私はあえて入れても良いと思います。その代わり、「中部地方」以外に「東海地方」という概念も明記し、三重県が両地方に属すると教えれば良いと思います。
ともかく、「関西」という言葉は最低限、丹後半島や潮岬までも含めた、広い範囲を指す地方名として使用すべきです。間違っても、京阪神都市圏の意味で使うべきではないです。

一方で、「首都圏」と対を成す言葉として「近畿圏」を用いるべきです。昨今のメディアでは「首都圏」に対比する言葉として「関西」が用いられることが多く、明らかに格落ち感がありました。こういうケースでこそ、「近畿圏」を用いることで、首都圏に対比し得る巨大な経済圏という印象を与えることができます。
「近畿圏」の範囲ですが、狭義では「京阪神都市圏」と同義で良いと思います。この場合、JR西日本の「アーバンネットワーク」エリアと概ねイコールです。広義であれば、三重県や福井県嶺南、徳島県、場合によっては鳥取東部あたりまで含めても良いと思います。

思えば、1994年の関西国際空港開港の頃から、やたらと「関西」が京阪神都市圏の意味で乱用されるようになりました。私は個人的に、その頃から東京一極集中がさらに加速したのではないかと思います。もちろん、理由は複合的なのでそういう単純なものではないのですが、言葉の使い方ひとつが明暗を大きく左右することもあるのです。
繰り返しになりますが、これからは地方名として「関西」、生活圏や経済圏として「近畿」を使用することを強く推していきたいと思います。

説明する間でもありませんが、当記事の画像は2025年大阪関西万博のときのものです。記事の内容と直接は関係ありませんが、少しだけ思い出に浸っていただければ幸いです。